2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

デカルトの基礎付け主義(2)

[三つの不可能性、あるいは必然性] ここで、「不可能性」がもつ三つの異なる意味を取り上げてみよう。その三つの区別は論理的必然性、法則的必然性、状況的必然性に起因するものである。それら必然性は基本的に異なった必然性である。以下の三つの文はそれ…

しだれ咲きの朝顔

蔓植物で、花が綺麗となればアサガオを思いつくが、蔓は普通なら絡みつきながら上に伸びる。子供の頃以来、私の朝顔像は上に枝が伸び、朝に花を咲かすものだった。横に伸びる蔓もよく見かけるが、横や下に伸びて、花がしだれ(枝垂れ)咲くアサガオが登場し…

モッコクの実

モッコク(木斛)は、モッコク科の常緑高木。7月頃になると、直径2cmほどの黄白色の花をつけ、芳香を放つ。1cmほどの大きさの卵形の果実が実り、秋になると熟して赤い種子が露出する。この種子は樹上で赤く目立つため、アカミノキの別名がある。何の変哲もな…

天と地の赤

秋に似合うのは緑より赤。天の赤となれば、朝焼けや夕焼け、地の赤となれば紅葉だが、初秋の今、まだ紅葉は望めない。そこで、いつも紅葉の植物ということになる。そして、朝焼けの画像に似合うのが、コリウス・アミーゴ。 赤い風景は青や緑の風景に比べるな…

デカルトの基礎付け主義(1)

[デカルトの懐疑] アリストテレスに始まる基礎付け主義は、知識全体を建物の土台とその上の階層的な構造によって理解する考え方である。あらゆる知識は疑い得ない土台となる知識をもとに組織的に構成されていなければならない、知識が基礎付けられていなけ…

ハナトラノオ

ハナトラノオ(花虎の尾)はシソ科の植物で、日本へは大正時代に観賞用として渡来。開花時期は、 8月から9月末頃まで。北アメリカのバージニア州原産。別名の角虎の尾(カクトラノオ)は茎の断面が四角形であることからつけられた。日本では園芸植物としてよ…

知識への懐疑

[懐疑のレベル] すべてのことを知っている人はいない。皆多くの疑問をもって暮らしている。哲学は疑問を解くことであると言われてきたが、出発点の疑問は懐疑につながっている。正しいと思われている知識に対する疑問が懐疑である。そして、哲学はいつも懐…

サマーグラッシー 何ともハイカラな名前で、サーフィンと関わりがあるのかなどと訝りながら、よく見れば何とヤマボウシ。そうとわかれば、途端に親近感が湧く。中国、朝鮮半島、日本の本州から琉球列島に分布するヤマボウシはハナミズキと並んで人気のある樹…

風景を閉じ込め、所有する欲望

「思想の視覚化」と言えば、「造園」を指す洒落た謂い回しになるだろう。真善美の中の美に重きを置いて思想内容を実現すると、それは風景として実現されることになり、それを成し遂げるのが庭園である。庭園は美学的な思想の具体的な実現ということになる。…

知識について

知識とは何かを最初に組織的に考えたのはプラトン。彼は『メノン』で知識と正しい意見の間には何の違いもないと述べている。『テアエテトス』では知識=知覚とする考えからスタートする。知覚は何ら意味論的な構造をもっていないゆえに、知識が知覚なら、知…

柑橘類

柑橘類(かんきつるい)は、ミカン科のミカン属、カラタチ属、キンカン属の総称。中国由来の言葉ではなく、日本での造語。文字通り、ミカン(蜜柑)やタチバナ(橘)が代表である。常緑の果樹で、成木になるまで10年ほどかかる。これは果樹の中でも遅い方だ…

帰納(過去・未来、Induction)

私たちは自分が直接観察しないことでも多くのことを知っている。直接見るには小さ過ぎる、遠くにあり過ぎる、隠れている、昔に起こったことで今は既にない、まだ起こっていないので見ることができない、といった様々な理由から自ら観察できない場合、私たち…

好奇心旺盛な子供の疑問、あるいは禁断の疑問への大人の補足

個人や個体を中心に生物世界を考えるのは、個人主義によって支えられる近代社会では当たり前のことであって、その思想はダーウィンにも色濃く表れています。自然選択(natural selection)は個体に働くのであって、組織や集団に働くのではないというのがダー…

アキグミ

アキグミ(秋茱萸)はグミ科グミ属の落葉低木。春に花が咲き、秋に熟す果実は果実酒などに利用される。名前は秋に果実が熟すことから。アキグミは北海道南部から九州に分布し、林縁などに生育する。アキグミの花は4月から5月にかけて咲く。花弁はなく、萼が…

好奇心旺盛な子供の疑問、あるいは禁断の疑問

人だけでなく、どんな動物も植物も、みんな生きている限り、「生きる」ために一生懸命であり、生きることを肯定的に見ることに疑問の余地はないと思われてきた。だが、一方では規則的な世代交代が繰り返され、生物の集団が維持され、社会が存続することへの…

科学的な説明

アリストテレスは自然を因果的に説明しようとした。しかし、その「因果的」説明は彼の四原因すべてを含むものだった。機動因による因果的説明は運動変化の科学的な説明としてニュートンによって初めて具体化された。それは仮説演繹法という形式をとり、さら…

ヤブラン

昨日はヤブガラシ、今日はヤブラン(藪蘭)である。別名はリリオペ、サマームスカリで、東アジアに分布する常緑の多年草。主な自生地は標高100~1400mにある森林や林の中にあり、各地の山野や林床で普通に見られる植物である。日本には、ヤブランの他、同属…

決定論

[力学的な決定論] どんな出来事にも原因があるというのが因果的な決定論の主張である。この形而上学的な主張はニュートンの力学によって、物理世界の決定論として精巧に具体化された。ニュートンの決定論の洗練された表現はラプラスの魔物(物理学者ラプラ…

ヤブガラシ

ヤブガラシ(藪枯らし)は、ブドウ科のヤブガラシ属の蔓植物で、日本中に見られる。名前は藪を覆って枯らしてしまうほどの生育の旺盛さを示している。「ヤブガラシ」にしろ「ヤブゴロシ」にしろ、藪を枯らしたり殺したりするのではなく、新しい藪をつくるこ…

確率とは何か

まずは確率を形式的に(つまり、数学的に)定義しよう。最初に命題や集合が与えらえるとする。論理の規則や集合の演算に関して閉じた命題や集合の集まりに対して、確率測度Pを定義できる。この関数Pは命題や集合を実数に写像する。そして、任意の命題や集合A…

サルビア

サルビアの仲間は熱帯から亜熱帯に分布し900種以上に及ぶ。ハーブや観賞用として幅広く利用されるサルビアは宿根性の種が多いが、一・二年草から木本性の低木になるものもある。サルビアと言えば、燃えるような赤い花をつけるブラジル原産の「サルビア・スプ…

ニュートンによる世界観の革新と対称性

<古典力学> ニュートンの時代の自然研究は自然哲学(Natural Philosophy)と自然史(Natural History)に分かれていた。自然哲学は現在の物理学、化学に、自然史は生物学、地学におよそ対応している。1686年に出されたニュートンの『プリンキピア(Philoso…

「第一義」と「義」

「第一義」の常識的な意味は、根本的な意義や価値で、「政治の第一義」、「第一義的な問題」などと使われます。上杉謙信が扁額に書いた「第一義」は仏教用語で「最高の道理、究極の真理、基本公理」を指す用語。一方、「義」は儒教の主要な概念であり、五常…

秋(9):夏の終わり

トレニアはツルウリクサ属のハナウリクサを指し、その花期は6-9月頃。スミレに似ていて、夏に咲くため「ナツスミレ(夏菫)」とも呼ばれる。今年のような暑い夏にも花を次々と咲かせる。アジアからアフリカにかけて約40種が知られていて、一年草のトレニア・…

「正の善に対する優越(the priority of the right over the good)」への寸評

タイトルのような表現「AのBに対する優越」は、Aの方がBより優れている、勝っている、優先される等々、様々に解釈されますが、いずれの場合もAとBとを直接比較し、優劣をつけるという仕方が想定されています。善と正義のいずれが優先されるべきかと問われる…

秋(8):ヒガンバナ

ヒガンバナ(彼岸花、リコリス)の別名はサンスクリット語由来の曼珠沙華(マンジュシャゲ)。日本中に見られるが、自生ではなく、中国から渡来した。稲作の伝来時に土と共に鱗茎が混入していたと言われている。また、有毒な鱗茎は適切に用いれば薬になる。…

物理学と生物学での正常、異常

まず、正常や異常の区別のない物理学でのモデル、それも簡単な古典力学のモデルを考えてみよう。そもそもなぜ力学モデルには正常や異常の区別がないのだろうか。この問いに対して、異常なものは力学法則に違反し、力学法則は普遍的であるから、異常なものは…

秋(7):クスノキ

「となりのトトロ」に登場する塚森(鎮守の森)は巨大なクスノキとその周りの樹々からなっている。我が家の前庭にも巨樹ではないクスノキが数本並んでいる。湾岸部の公園や歩道にはクスノキが多く植えられ、中には大きなものも相当ある。 一般的にクスノキに…

妙高の生い立ちを垣間見ると…

歳をとると生まれ故郷が気になるのが人の常だが、故郷に大した想い出をもたない私でもそれなりに故郷が気になり出す。死と生は意外に近いのである。自分の故郷は知っているようで知らないことばかりなのだが、知っていることは子供の頃に経験した事柄ばかり…

アリストテレスの正常(normal)モデル

[性についての伝統] アリストテレスは生殖を他の動物と比較することによって研究した最初の人であり、彼の考えによれば、精子が胎児を産み出す種をもち、月経の血がそれを成長させる土壌となる。アリストテレスは、胎児を形成し、成長させるのは霊魂であり…