メラレウカ・リナリイフォリアの白い花

 メラレウカ・リナリイフォリア(Melaleuca linariifolia)は公園や庭園の観賞用として栽培され、スクリーンや防風林としても利用されているとのことだが、私がこの植物を見るのは久し振りである。フトモモ科メラレウカ属の常緑樹で、「スノーインサマー」という名にふさわしく、6月に雪が積もったような白い花をつける。メラレウカはオーストラリア南東部や、ニュージーランド原産。

 メラレウカはキャプテン・クックがこの葉をお茶として飲んだことから、ティーツリーと呼ばれている。「香りの樹」とも呼ばれ、葉からはほのかに柑橘系のさわやかな香りがする。オーストラリアの先住民アボリジニが万能薬として愛用していた。

 

シャゼンムラサキの花

 シャゼンムラサキ(車前紫)はヨーロッパ原産で、ムラサキ科シャゼンムラサキ属の一年草。シャゼンムラサキは道端や海岸近くの野原に生え、全体が白い毛で被われています(画像)。5月から6月にかけ、青紫色、白色やピンク色のベル型の小花を咲かせます。

 奇妙な名前はシャゼンソウ(オオバコ、中国では「車前草」)と同じように、道端に生えることに拠ります。茎葉はアルカロイドを含んでいて、馬などの家畜には有毒です。

 

シロバナムラサキツユクサの花

 ツユクサツユクサツユクサ属の一年生植物。ツユクサは夏の花で、その花の青さは早朝の露の下りたあぜ道を思い出させる夏の青色。朝露を連想させることから「露草」と名付けられたが、確かに午後には青色がすっかり見えなくなる。ツユクサには青の他に白や紫花もあるが、露草色は実際の青色の花よりも少し明るく、鮮やか。

 ムラサキツユクサは花が紫色で、露草に似ていることから名付けられた。ムラサキツユクサは既に咲いている。ムラサキツユクサは北米から中南米にかけて約20種が分布し、日本には明治時代に入ってきた。大きな3枚の花弁を優雅に広げる。白色の花のムラサキツユクサもあり、シロバナムラサキツユクサと呼ばれている。その名前は「丸い三角形」に似ていて、何か腑に落ちない。白色の花のツユクサシロバナツユクサと呼ばれている。

 ツユクサに先んじてトキワツユクサ常磐露草)も花をつけている。ムラサキツユクサ属のトキワツユクサの別名はノハカタカラクサ(野博多唐草)で、三枚花弁の白花が特徴。三角形の白い花で、中央には1本の白いめしべがあり、それを黄色の6本のおしべが取り囲んでいる。トキワツユクサ南アメリカ原産で、日本には昭和初期に観賞用として持ち込まれ、野生化している。湾岸地域でも野生化したトキワツユクサがあちこちに見られる。トキワツユクサは名前が示すように常緑。

シロバナムラサキツユクサ

ツユクサ

ムラサキツユクサ

トキワツユクサ

 

ダリアの花たち

 夏になればダリア、ダリアは夏らしい花の代表格で、キク科ダリア属の多年生植物。18世紀にメキシコからスペインにもたらされて以来、長い時間をかけて品種改良が行われ、多種多様な品種が生み出されてきました。日本には江戸時代にオランダ人が持ち込み、江戸時代の家々の庭先に植えられ、「天竺牡丹」と呼ばれていました。そう呼ばれたのは、花の形がボタンに似ているからでした。

 メキシコの国花daliaは昭和に入り、家庭の庭先を飾る夏の花として普及しました。ダリアは球根植物で、夏から秋にかけて開花し、大きな花輪と色鮮やかな花色と咲き方が特徴です。今年もまたそのダリアの花が咲き始めています。

 

立葵と鶏冠

 タチアオイの花弁の付け根の部分をはがすと、そこは粘着性があり、肌に張り付く。それが赤いタチアオイなら、張り付いた花弁はニワトリのトサカに見える。そこから、タチアオイはコケコッコ花とも呼ばれてきた。

 タチアオイが街中の庭や軒先に植えられていた昭和の記憶が思い出され、その花が鶏冠と重なり、鶏の記憶が浮かび上がってくる。私の故郷では昭和30年前後はまだ家畜が多く、豚、山羊、鶏などが飼われていた。我が家にも豚と鶏がいた。鶏は10羽ほどで、雄鶏が一羽いて、他は雌鶏。昼間は納屋の鳥小屋から前庭に出されていた。さすがに雄鶏は気が強く、子供の私は追いかけられ、よくつつかれた。残飯はじめ、野菜もよく食べ、卵も日に数個は産んでいた。私は当然のごとくその卵を白いご飯にかけて食べていた。

 我が家の鶏はすべて白色レグホンで、伊藤若冲が描く鶏ではなかった。鶏冠から若冲の鶏も思い出したのだが、私が若い頃は「伊藤若冲」という名前さえ知られていなかった。私は先輩の美術史の教授から彼の絵を見せられ、ショックを受けた一人だが、酒を飲むと若冲の話をよく聞かされた。浮世絵も含め、江戸時代の美術は岡倉天心らの影響でまだ十分に評価されない頃だった。

 そんなことで、私の記憶の中の鶏となれば、田舎の祭礼の前に絞められ、ご馳走に供される老いた雌鶏と、若冲描く見事な鶏冠と羽をもつ群鶏との二つが抜きんでている。二つは私の記憶の中で仲良く居場所を確保してきた。

*画像は伊藤若冲の『動植綵絵(どうしょくさいえ)』の中の「群鶏図」

 

サルビア・クレブランディの花

 サルビア・クレブランディ(Salvia clevelandii)はカリフォルニア原産のサルビア。リング状に咲く花が何とも美しく、その上全草から漂う甘い香りが魅力的です。別名の一つがサンディエゴセージカリフォルニア州南部からバハカリフォルニアに分布し、初夏から夏にかけて薄紫から紫色で、香りの良い花を咲かせます。日本では栽培品種が流通しています。

 こんな説明は忘れて、画像の美しさから実物の魅力を想像してほしい。本物に越したことはないが、画像だけでもバハの風の中の片鱗は十分に窺い知ることができるのではないでしょうか。

 

ギンバイカの花

 オトギリソウ属のビヨウヤナギ、西洋キンシバイヒペリカム・カリシナム)によく似た花姿をもち、花色が白いのがギンバイカ(銀梅花、銀盃花)で、フトモモ科ギンバイカ属の常緑低木です。白い梅のような花を咲かせることから、「銀梅花」と名付けられました。また、ヨーロッパでは白い花が結婚式などで使われる縁起のよい木とされ、日本でも「祝いの木」と呼ばれています。

 ギンバイカの花の時期は、5月から7月の初夏から夏の季節で、今咲き出しています。ギンバイカは、開花すると白い5枚の花びらを開きます。長く白銀色に輝くたくさんの雄しべが特徴的で、とても華やかです。ギンバイカの白い花は食べることもできます。サラダなどに入れるとさわやかな香りを楽しめます。

 ギンバイカは地中海沿岸原産で、英語でマートル(Myrtle)。ギンバイカの果実は液果で、晩秋に黒紫色に熟し、食べることができます。葉は揉むとユーカリに似た強い芳香を放ち、「マートル」という名でハーブとしても流通しています。