モッコクとマサキ:目立たない花

 モッコクは関東以西の本州を原産とするツバキ科モッコク属の常緑樹で、主に太平洋岸の林に自生する。樹齢を経るに従って樹姿に風格が出ることから、「庭木の王」とされた。「江戸五木」の一つで、江戸時代の庭造りでは重宝された(他の江戸五木:マキ、アカマツ、カヤ、イトヒバ)。花が咲き、実もなるが、最大の魅力はツバキ科独特のツヤツヤした葉。付け根部分(葉柄)が赤いのが大きな特徴で、春の新芽、刈り込み後の新芽は葉全体が赤くなる。花の香りが石斛(セッコク)に似た木という意味で、江戸初期に木斛(モッコク)と命名された。今頃咲く小さな白い花は微かに甘い香りを感じる程度だが、蜂などの昆虫がよく集まる。

 マサキは日本全国に分布するニシキギ科の常緑樹。丈夫で成長が早く、刈り込みにも強いため、かつてはもっとも多く垣根に利用された。江戸時代から品種改良が進み、いわゆるカラーリーフとして庭のアクセントになるようなものもある(オウゴンマサキ、ギンマサキ、斑入りギンマサキ、キンマサキなど)。マサキという名前は、冬でも葉が真っ青な木=真青木からきている(諸説あり)。今頃咲く花は直径約7mm。花弁、萼片、雄しべは4個。花盤が発達し、雄しべは花盤のふちにつく。

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