似ている、似ていない(2)

 車道や歩道の脇に、それもアスファルトの欠けた僅かな所を好むかのように生育するのがヤナギハナガサやアレチノハナガサ。ヤナギハナガサは南アメリカ原産の多年草第二次世界大戦後、東海地方で帰化が知られ、現在では全国的に市街地の道ばたなどに見られる。アレチノハナガサも南アメリカ原産の多年草。1967年頃から福岡や神奈川で見いだされ、現在では関東地方以西の市街地の道ばた、荒地や河川敷に大きな群落を作っている。

 ヤナギハナガサはアレチハナガサを園芸種として改良したような感じだが、実際はどちらも観賞用として持ち込まれた帰化植物アレチハナガサとヤナギハナガサは南米原産の外来種で名前が似ているだけでなく、形態もよく似ていて紛らわしい。ヤナギハナガサの方があざやかなピンクの花をたくさんつけて美しいが、アレチハナガサの花はうす紫色で花数が少なく目立たない。
 では、ヤナギハナガサとアレチハナガサの違いは何か。アレチハナガサの茎と葉について、茎は四角で剛毛が少なく、茎は中実。葉の基部はくさび状に細まり、茎を抱かない。一方、ヤナギハナガサの茎は四角で剛毛がいちじるしい。茎は中空で、葉の基部は細まらず、切形でやや茎を抱く。

 こんな知識によっておよそ二つは識別できる筈だったのだが、私の周りを実際に調べてみると、どうもヤナギハナガサが見つからない。そうだと思っていた個体の茎は中実で、茎を抱いている。交雑したのかと思って調べ直してみると、見つかったのがダキバアレチハナガサ。文字通り、茎を抱くアレチハナガサがあったのだ。

 同じクマツヅラ科クマツヅラ属のクマツヅラもよく似ている。タチバーベナ、サンジャクバーベナ(三尺バーベナ)、シュッコンバーベナ、ハマクマツヅラ、と似たものが次々に見つかり、外見からはラベンダーの花さえよく似ている(画像)。

 これまでのことからの教訓は、似ている、似ていないの区別も簡単ではないことだ。

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ダキバアレチハナガサ

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ヤナギハナガサ?

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アレチハナガサ

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アレチハナガサ

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左ダキバアレチハナガサ、右アレチハナガサ

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ダキバアレチハナガサ

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ラベンダー