強かなる雑草たち

 最近は雑草、それも小振りな雑草ばかり気になり、つい眼は地面にばかり向いてしまう。下ばかり見て歩く陰気な人間に見えるに違いない。そんな愚痴は横に置き、雑草たちは自然淘汰の荒波にもまれて生き延びてきた優等生たちで、それだけに見かけとは裏腹に強かである。その一つがチリアヤメで、南アメリカ原産のアヤメの仲間。5月頃から2cmほどの魅力的な花を咲かせる。それを足元に見つけて、つい見惚れてしまった。小さいながらも鮮やかな濃いブルーの色がよく目立つ。花は朝開いて夕方にはしぼむ一日花で、画像は少々しぼんでいる。草姿が小さいわりに花は大きく、花径は3cmくらい、3枚の丸みのある花弁(外花被)が広がり、ツルニチニチソウに似ている。中心部には濃淡の模様が入り、3枚の小さな花弁(内花被)がある。別名がハーベルティア、アヤメ科で、原産地は南米で、チリは原産国の一つ。一般家庭でも栽培は簡単だが、駆除するとなると厄介で、原産地ではしつこい雑草らしい。最初の画像に実が見えるが、まるでナガミヒナゲシの実を小さくしたような姿で、悪名高いナガミヒナゲシ程ではないにせよチリアヤメも大量の種子を作ってばら撒き、どんどん増える。

 ヒナゲシの一種であるナガミヒナゲシも湾岸地域のあちこちに目立つ。1960年ごろ見つかったヨ-ロッパ原産の帰化種で、瞬く間に全国に広がり、道端のいたるところに咲いている。ナガミヒナゲシは長実雛罌粟(ヒナゲシ)と書いて、実(み)が長く可愛いケシだとして名付けられたが、その中には大量の種子が入っている。同じように、夏が近づくと急に増え出すのがヒルガオ。こちらは強力な地下茎で増えて、駆除は厄介である。ヒルガオとコヒルガオが混在していて、見分けは難しい。ヒルガオの苞の先端は丸みがあるかへこんでいるが、コヒルガオの苞は先端が三角形にとがるのが普通(画像の苞はコヒルガオと思われる)。

 どの雑草も可憐な花をつけながら、実に逞しく自然に適応している。私たちにもうまく適応していて、私など手玉に取られて、それらの花を愛でてしまうのである。

f:id:huukyou:20200602050206j:plain

チリアヤメの花と実

f:id:huukyou:20200602050318j:plain

チリアヤメ

f:id:huukyou:20200602050359j:plain

チリアヤメ

f:id:huukyou:20200602050432j:plain

ナガミヒナゲシ

f:id:huukyou:20200602050522j:plain

ナガミヒナゲシの実

f:id:huukyou:20200602050553j:plain

ヒルガオ

f:id:huukyou:20200602050650j:plain

ヒルガオの苞