ビョウヤナギとキンシバイ

 擬似科学概念(pseudo scientific concept )があやふやで、得体が知れないところがあっても、この概念こそ私たちの生活世界を支えている最も重要な代物だと今日の「擬似科学概念」で述べました。その代表的な例が生物の名前であり、「ビョウヤナギ」も「キンシバイ」もその一つです。擬似科学概念は常識概念(folk concept)ではないかと思う人が多いのではないでしょうか。重なる部分が多いのですが、同じではありません。学名は擬似科学的な名前ですが、常識的な名前とは限りません。私が言う「擬似科学」は生活世界での「科学」と呼んで構いません。生活世界での擬似科学とは解釈された科学のことでもあります。

 梅雨時の花というと、まず思い浮かぶのはアジサイですが、ビヨウヤナギとキンシバイも忘れられません。ビヨウヤナギは約300年前に中国から渡来した木で、5~7月に直径5センチ程度の花を枝先に数個ずつ咲かせます。枝先がやや垂れ下がる樹形で、葉がヤナギに似ているのでビヨウヤナギと呼ばれますが、ヤナギの仲間ではありません。中国では金糸桃と呼ばれ、未央柳というのは日本でつけられた名前です。キンシバイも、ビヨウヤナギと同じオトギリソウ科の仲間。5弁の花の形が梅に似ていること、そして雄しべがたくさんあって、まるで金糸の束のようなので、「金糸梅」と呼ばれます。こちらも約200年前に中国から渡来しました。

 さらに、擬似科学を離れれば、キンシバイビョウヤナギは私たちに随分と異なる印象を与えます。私たちの感覚印象の違いは二つの植物の知識に付き纏い、雑音にさえなります。そして、キンシバイビョウヤナギは似て非なるものという記憶を残すのです。画像を見比べながら、二つをどのように見ているのか自問自答してみて下さい。

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