感覚的に気づけば、美を享受できる

 人は視覚的な動物だと言われてきたが、視覚を巧みに利用した一つが園芸植物。特に、花は視覚に訴える格好の部分で、それを上手に援用したのが私たち。以前にキキョウソウやヒメキキョウソウが美しいことを述べたが、彼女たちの美しさは慎ましく、私たちが見出さなければならない。眼に飛び込んできてくれないのが彼女たちで、私たちが探さなければならない。だから、すぐ足元にキキョウソウ(画像)が咲き乱れているのに気づかなければ、彼女たちは存在しないのである。気づけば、思わず見惚れてしまい、その時には野生も園芸も区別はなくなり、美の感覚的な享受となるのである。

 野原では今ニワゼキショウが花盛り。様々なニワゼキショウの競演が見られる。ニワゼキショウとオオニワゼキショウの交雑種がシロバナニワゼキショウニワゼキショウのシロバナ種がシラユキニワゼキショウ(白雪庭石菖)、そして、キバナニワゼキショウのシロバナ種がセッカニワゼキショウ(雪花庭石菖)で、各種各様でややこしいのだが、画像はそのセッカニワゼキショウ。和名は花が白いため雪花とつけられ、小さいためコニワゼキショウとも呼ばれる。北アメリカ原産とされているが、詳しいことは不明。

 キキョウソウもセッカニワゼキショウも小さく、目立たないため、私たちの日常世界にはほとんど登場せず、視覚を刺激しないのだが、視覚をもっぱら刺激して、私たちを意識させる花たちと見比べてみよう。すると、二つをしっかり見比べるなら、存外太刀打ちできて、私たちの感覚だけでは優劣つけ難しとなる場合がほとんどなのである。

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キキョウソウ

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キキョウソウ

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セッカニワゼキショウ

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セッカニワゼキショウ

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セッカニワゼキショウ