ハクチョウゲ(白丁花)

 ツゲとは無関係なのに、ツゲに劣るものとして命名されたのがイヌツゲ。遠目に生垣のイヌツゲの花かと見えたのだが、近づくとやはり花の形が違う。イヌツゲに似たものを探すと見つかったのがこのハクチョウゲ。一見するとイヌツゲのようだが、初夏に緑の葉の上に雪が降ったように小さな花を咲かせる。花は一重で直径は1cmほど。花の先端は5つに裂け、外側は淡い紫色が入る。

 沖縄、台湾、インドシナ等を原産とする常緑低木で、元禄年間以前から本州でも園芸用に使われるようになった。熊野川四万十川流域に自生する同じアカネ科の落葉低木「シチョウゲ(紫丁花・イワハギ)」に対してハクチョウゲと名付けられた。「白い丁型の花が咲く」ことが命名の由来。茎葉及び根は肝臓やのどの痛みを和らげる作用があるとして漢方薬に使われる。

 ツゲはイヌツゲに似る。イヌツゲはハクチョウゲに似る。だから、ツゲはハクチョウゲに似る、とはならず、ツゲとハクチョウゲは似ていない。「AはB に似る。BはCに似る。だから、AはCに似る 。」とはならない理由は、「最初の二つの言明の「似る」が違う意味をもっているからである。最初は形が似る、次は花が似るかも知れず、そうなら「似る」は推移的ではないのだ。こんなことを改めて確認するとは…職業病か、三つ子の魂か。

*最初の画像とそれ以外の画像は異なる個体のため、花の姿が少々異なる。

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