緊急事態宣言の延長

 緊急事態宣言が5月末まで延長され、阿部首相や西村大臣がお詫びやお願いをしたのだが、釈然としない人が多かったのではないか。それにしても「新しい生活様式」はあっと驚く間違い表現で、それこそ「コロナに負けない、コロナに感染しない生活制約」が正しい表現。私たちが自ら生み出した生活様式ではなく、自粛のための生活制約であり、専門家会議が私たちに要請した様式(?)で、不自然な生活制限なのである。本来の生活様式を取り戻すための仮の生活制限をコピーライターならどう果たしてどのように表現するだろうか。

 では、緊急事態宣言がいつ解除されるのか。その判断基準について、西村大臣は直近2~3週間の新規感染者の数、感染経路が特定できていない感染者の比率、PCR検査が適切に行われているか、医療提供態勢が十分か、近隣の都道府県の感染状況を挙げた。これらを総合的に判断していくと言うのだが、いつもの典型的な日本様式であり、何とも茫洋としていて、休業している人たちにとっては無責任極まりないというのが第一印象だろう。具体的な数値や判断基準がどこにもない。それらがあってこその丁寧な要請なのではないか。また、「PCR検査が適切に行われる」とは何を意味しているのか。専門家会議は日本のPCR検査が他国に比べ少ないことを認めながらも、適切な数については何も言わない。こんな基準で解除が考えられているとなれば、誰もが腹立たしくなるのではないか。

 「検査と隔離」、「要請と補償(?)」がそれぞれ医療と社会経済の二本柱で、それぞれを宣言の間に周到に整える筈なのだが、PCRなどの検査、そして「補償」については未だに不十分なままである。与党にも野党にも信頼できる政治家の姿が見えない中で、二本柱の課題が延長されることなく、速やかに実現されることを望むしかない。