若いCさんが考えた抗体検査

 イギリスは新型コロナウイルスの感染と免疫を追跡する大規模調査を開始するというニュースが入ってきた。そこで、Cさんは免疫に関する欧米の動きを眺め直してみた。スウェーデンはこれまで強力な隔離政策を行っていない。致死率は10%ほどとかなり高いものの感染者数は1万5千人程度。スェーデンで集団免疫ができつつあるとするなら、本来の感染者ははるかに多いのだろう。もちろん抗体を獲得しても、再度発症しない証拠はまだない。ぬか喜びになるかも知れないが、スウェーデン方式、つまり、若い人は外に出て経済活動を推進しリスクの高い高齢者のみ隔離するような方策がもし成功するのなら、強力なロックダウンから開放されて随分楽になるのではないか。日本のやりかたは意図したのかしなかったのかわからないが、スウェーデン方式に近いのかもしれない。そこで、Cさんが考えたことは、集団免疫を目指すかどうかは別としても、PCR検査で現在感染している人を見つけると同時に、抗体検査も並行して行うことは、若者を早く開放し、老人や既往症をもつ人たちを隔離するような政策に立つのではないだろうかということである。

 これまでに新型コロナウイルスに感染していたかを調べる「抗体検査」がアメリカで本格化する。実際、ニューヨーク州20日から、1日2000件と全米最大規模の抗体検査を始めた。スウェーデン公衆衛生局アンダース・テグネル博士は、スウェーデン公衆衛生局の数理モデルによると、ストックホルムでは多くの住民が新型コロナウイルスへの免疫を獲得しつつあり、新型コロナウイルス感染症の流行の抑制に効果をもたらしはじめていると述べた。4月6日から12日までに、ストックホルムではPCR検査の陽性率が前週の35%から14%に低下しており、スウェーデン公衆衛生局は、新型コロナウイルス感染症の流行が抑制されている徴候ではないかとみている。スウェーデン公衆衛生局では、国民のうち、どれくらいの人が新型コロナウイルスにすでに感染したかを推計するためのサンプル調査に着手している。スウェーデン公衆衛生局は、4月21日から24日にかけて、スウェーデン全土で約4000名を対象に、同様のサンプル調査を行っている。

 抗体検査は、集団が感染の第二波にどれだけ耐えられるかを見きわめるのにも役立つ。多くの人に耐性があるなら、ウイルスが今回のように猛威を振るうことはないだろう。しかし、耐性がある人が少ないなら、移動や交流の制限を早く緩めてしまうと第二波に見舞われる可能性が高い。 欧米での最近の動きを見ながら、CさんはPCR検査と抗体検査の二本立てにし、流行をコントロールする行動変容を続けながら、サンプル調査を何度か行うべきだと結論した。