アシュガとキランソウ

 シソ科のキランソウ属は園芸では学名のアジュガで呼ばれます。アジュガはセイヨウキランソウから作出された園芸品種が多く、日本に自生するジュウニヒトエキランソウアジュガの仲間です。アジュガの原産地はヨーロッパ、今花が咲いています。普通に出回っているのはレプタンスの品種群。既に紹介したキランソウはジゴクノカマノフタとも呼ばれます。アジュガキランソウは花がそっくりですが、アジュガは上に育ちますが、キランソウは横に広がっていきます。 

 野生の植物、あるいは自然に進化してきた植物と人工の植物、あるいは人が変えた植物の対比となれば、natural kindとartifactとなるのでしょうが、自然の技と人の技の違いがどこにあるのか誰もが探り出したくなります。でも、その探求は意外に厄介で、遺伝子の組み換えなどとなると、戸惑うしかなくなります。植物の園芸種の場合は割と自然と人の好みの違いのようなものを垣間見ることができるように思われます。

 最初の例は最近載せたワスレナグサキュウリグサであり、次が今回のアジュガキランソウの例。花を見なければ、二つは違うものです。花だけがよく似ていて、そのため私も二つの類縁関係に気づいたのです。キュウリグサキランソウも注意深く道端に目配りしない限り、見つけ出すのが難しいのですが、ワスレナグサアジュガも何の苦も無く、向こうから私たちの目の中に飛び込んできます。種明かしすれば、花や茎のサイズの違いです。大きな花は私たちの探す努力を省いてくれます。園芸種には私たちの演出が巧みに盛り込まれているのに対し、自然種は私たちが自然の演出を見つけなければなりません。でも、昆虫たちは園芸種の花の派手な色や形に戸惑わないのか気になります。

*最初の2枚がアジュガ、残りの1枚がキランソウ

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