新型コロナウイルス感染症対策の行方

 既に昨日述べたことと小池知事と西浦教授のYouTubeを再度まとめてみる。

https://ceron.jp/url/www.youtube.com/watch?v=vflfImmR59g

「8割」はどこから導き出されたか、あるいは「なぜ8割なのか」
クラスター対策班のTwitterでの西浦教授の説明の要約)
「人口の増減と感染者の増減は数に関して同じ振舞いをするため人口に関する基本再生産数R0を感染者の動態モデルにも適用してきました。ヨーロッパでの感染状況から基本再生産数は2.5.再生産とは人間なら出産であり、人が関与してその数をコントロールすることが部分的に可能です。新型コロナウイルスについても、ワクチンを打つ、薬を飲む、社会的距離をとる、幾つかの行動を禁止する、自粛を要請すること等々、によってR0を減じることができます。それによって決まるのが実効再生産数R。二つの再生産数の間には、
R=(1-e)R0
の関係があります。R<1ならば、感染者は増えません。つまり、
e≩1-1/R0=3/5=0.6(R0=2.5)。
R0を6割減らすことができれば、Rは1より小さくなります。つまり、6割削減で理論上は十分なのですが、夜の街の自粛は厄介なので、確実に流行を防ぐには8割が必要。そのため、首相の宣言で「最低7割、極力8割削減」という(紛らわしく、不透明な)表現が使われたと思われます。」(この内容は上記のYouTubeを見て下さい)

 Web上にあった「Explicitに言わないほうですが休業補償2週待つっていうニュース、耳を疑いました。都知事のようにガンガン閉めて伝播が止まるのですが。それで自分がSuggestしたことのようにされている旨を連絡受けました。どこがおかしいか、ちょっとわかってきた。R0=2.5で出した資料が翌日にR0=2.0にしたところだ」という記事が本物かどうかわからないが、R0=2.0なら、同じように計算すると、e≩0.5。これなら5割削減でよく、東京都の案より弱いもので構わないと考えることもできそうである。既に、7日のFacebookでインペリアル・カレッジ・ロンドンの調査報告書に言及し、ブラジル全人口の75%を自宅隔離する厳格な新型コロナウイルス感染防止強制措置について述べた。それと比べるなら、東京都の案など抑制策というより、緩和策でしかない。

 西村大臣の主張は人権の尊重を盾に経済的なダメージを少なくするものだが、「2週間の経過を見た上で」というのは緊急事態宣言を発出したのだから、その効果が出るのは2週間後だという考えを政治的に利用したものに思えてならない。「最低7割、極力8割削減」と宣言するだけで効果があるという楽観論は、選挙運動をすれば国が変わるのと同じような考えであり、宣言の内容を実践して、その効果を見るのでなければ、闘う前に傍観者になるようなもの。生命が重要だとして科学的知識を政治や経済に優先させたのがヨーロッパの諸国だとすれば、日本は何をしようとしているのか解せず、東洋の神秘としか言いようがなくなる。専門家委員会は委員会として意見を述べるべきだし、イギリスならとっくにそうなっていただろう。