ワスレナグサとキュウリグサ

 勿忘草 (わすれなぐさ)と言えば、忘れらない歌が抒情的な「忘れな草をあなたに」。ドナウ川の岸に咲くこの花を恋人ベルタに贈ろうとして、誤って川に落ちて死んでしまった騎士ルドルフ。「Vergiss mein nicht、Forget me not、私を忘れないでください」という言葉を忘れず、ベルタはこの花を一生髪に飾り続けた、という伝説がある。2012年には同名のドイツ映画があった。内容は半ば忘れてしまったが…ものおぼえの悪くなった昨今、この草くらいはしっかり憶えておきたい。ワスレナグサは長野県と北海道で野生化していて、開田高原ではいたるところで見られる。白花のワスレナグサも青花同様ヨーロッパ原産だが、園芸用として多く流通している。

 キュウリグサは小さい5弁花をもち、花はそれぞれにズラリと伸ばした短い茎先に咲く。葉っぱをもんでみると、キュウリのような匂いがするのが名前の由来。別名は「胡瓜菜(きゅうりな)」、「田平子(たびらこ)」。春の七草の田平子と同じ名前だが違う花。

 ワスレナグサキュウリグサはよく似ている。一番の違いは花の大きさである。ワスレナグサが6~9mm程度なのに対して、キュウリグサはずっと小さく、1~3mmしかない。余程地面を注意して見ていないと、見落としてしまう。近眼と老眼の私には尚更で、しゃがみ込んで探すしか手はない。ワスレナグサの花はキュウリグサの4倍も大きく、並んで咲いていれば違いは一目瞭然。キュウリグサの花の色は薄い青色や紫色の寒色系だけだが、ワスレナグサは青や紫の他に白やピンク色の花を咲かせる。

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