COVID-19 についてのニュースを聞きながら…

 3月4日早朝の時点で、香港、マカオを除く中国では80,151人が感染、2,943人が死亡。中国本土では、3日午前2時からの24時間で新たに125人が感染、31人が死亡。中国以外では計12,571人の感染者が確認され、うち212人が死亡。3日午前2時以降の中国国外での新規感染者数は2,441人。中国以外で感染者の多い国は、上位から順に韓国(感染5,186人、死亡28人、新規感染851人)、イタリア(感染2,502人、死亡79人、新規感染466人)、イラン(感染2,336人、死亡77人、新規感染835人)、日本(感染268人、死亡12人、新規感染14人、「ダイアモンド・プリンセス」でも700人余り。国内で「クラスター」と呼ばれる集団感染が判明しているだけでも9件発生、ここからつながりのある感染者数が80人以上になる。これは都道府県の感染者260人の約30%を占め、スポーツジムや展示会などを中心に多数の患者が出て、それが医療関係者や家族にうつるパターンが目立つ。残念ながら、日本では疫学調査のデータが公開されていないので、「…と思われる、…と推定される、…らしい」といった表現しかなく、肝心の事実が述べられていない。それゆえ、「要請」だけなされ、その根拠や理由は示すことができない。そして、上記のような内容とその説明が一日中手を変え品を変え、延々と放送されている。

 そこで、肝心の情報を手に入れるにはどうすればいいのか老人なりに考えてみた。自分がいた大学の医学部を見直すと、今話題になっている疫学関連の事柄を扱うのは感染症学、衛生学公衆衛生学、医療政策・管理学で、いずれも臨床系ではなく、基礎系である。公衆衛生学は大学院として2015年健康マネジメント研究科・公衆衛生プログラムができている。医学研究は「基礎研究」、「臨床研究」、そして「疫学研究」に大別される。疫学研究は、大規模な人口・集団を対象とし、病気の発生率や、検診やワクチンの予防効果などを統計学的に調査する研究。疫学は、人間集団を対象に健康に関わる要因を明らかにする。例えば、初経年齢が早い人、出産経験のない人、初産年齢の遅い人、閉経年齢の遅い人などは乳がんになりやすいと言われているが、これらは疫学研究によって明らかになったもの。

 したがって、ほしい情報は疫学、感染症学の情報となるのだが、疫学関係の学会は実に多い。当面役立ちそうなのものとして日本疫学会と日本感染症学会にターゲットを絞り、一日に一回はホームページを見て、コロナ関連の情報を確認してみよう(いずれの学会もその名称で検索すればすぐわかる)。例えば、日本疫学会のホームページから特設サイトCOVID-19 GIS Hub(この名称で検索すれば、直接つながる)へ移ると、WHOの世界統計等を即座に知ることができる(日本に関わる部分は日本語でも表示されている)。また、日本感染症学会のホームページには症例報告が掲載されていて、例えば、喘息の薬に関する報告記事があり、どのような効果があったのかを正確に読み取ることができる。素人の私にはこの二つでも十分過ぎるほどで、政治家の意見や妙な解説よりずっと信頼できる。

 私たちの個々の行動は私たちの賢い常識を尊重することで十分、特別のマニュアルなど必要ないのではないか。