1月でも野原で黄色い花を見かけることは昨今珍しくないが、タンポポ、ノゲシ、オニノゲシは、どれも花だけ見たのでは見分けがつきにくい。とりわけ、ノゲシとオニノゲシは全体の形状まで似ていて、一見したのでは同じように見えてしまう。
ノゲシ(野芥子)は道端などどこにでもよく見かける野草で、茎はやわらかく中空、葉は切れ込みがあっても、柔らかい。その葉の形がケシに似ているところからノゲシの名前がついている。タンポポと同じように、ノゲシの葉は食べることができる。
一方、オニノゲシ(鬼野芥子)もよく見かける野草。ノゲシよりもやや大形で、葉がアザミに似て、トゲが硬くとがっていて、触ると痛い。オニノゲシの葉の基部は耳状に返っているが、ノゲシは返らずに茎を抱きこんでいる。大形であることと、とげの鋭いことからオニノゲシと呼ばれている。
ノゲシもオニノゲシもキク科ノゲシ属で、ヨーロッパ原産。ノゲシは史前帰化植物として日本に入ってきたものと思われるが、オニノゲシは明治中期に帰化。タンポポと並んで、どちらも今では雑草中の雑草となっている。