フラサバソウ

 昨日オオイヌノフグリ(別名ルリカラクサ)の花を紹介しました。早春の雑草とすれば珍しくなく、野原で目を凝らさなくても見つかるものです。その実の形が犬の陰嚢に似ているイヌノフグリの花より大きいのが帰化植物オオイヌノフグリで、埋め立ての湾岸地域でも珍しくない植物です。その午後の散歩で偶然見つけたのがオオイヌノフグリのミニチュアのような花で、絶滅危惧II類のイヌノフグリを見つけたと喜んだのですが、調べてみると、その正体はフラサバソウ。

 フラサバソウはオオバコ科クワガタソウ属の越年草。ヨーロッパ原産で、別名「ツタバイヌノフグリ」。「フラサバ」という名前は明治時代に日本の植物を研究したフランチェットとサバチェルの二人の名前からつけられました。オオイヌノフグリと同じ仲間で、同じように茎は倒れて拡がりますが、全体に柔毛があり、花は青色の4~5mm程で、目を凝らさないとなかなかわかりません。

 オオイヌノフグリイヌノフグリタチイヌノフグリ、コゴメイヌノフグリ等々は目に見える外部形態に基づいた分類システムのもとで命名されたもので、実際花や葉の形態がよく似ています。でも、目に見えない遺伝子情報に基づいた系統発生的な今の分類システムではそれらが遺伝子の配列形態の類似性に置き換えられています。まるで写実的な絵画が抽象画に変わったようで、博物学的楽しみは消え失せてしまいました。

*最初の画像にはオオイヌノフグリの花が一緒に写っています。二つの花を比較してみてください。

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