人口減少の中での地方都市の将来計画

 第3次妙高市総合計画(案)は2020-2024の5年計画案で、人口減少が主要な事柄で、気が滅入る内容になっています。妙高市の試算でも2060年17,944人です。人口減少、少子高齢化、過疎化に対してICT(Information and Communication Technology)を活用して、持続可能な開発目標(Sustainable Developmental Goals)を立てようという計画案で、人口減少の減少率を低く抑え、駅を中心とした市街地を再整備し、医療サービスを維持し、観光客、移住定住者を増やし、スマートなまちづくりを目指す案になっています。人口減少、少子高齢化、そして過疎化がセットになっている点に日本の地方の特徴があります。過疎化は地域社会を衰退させます。地域社会が担ってきた機能は過疎化によってダメージを受け、その地域での生活が成り立たなくなります。それを表現するのが「限界集落」です。
 では、人口減少はデメリットばかりなのでしょうか。大きなメリットは一人当たりの利用可能資源量が増えることです。土地や食べ物、石油などの資源が一人でたくさん使えるようになります。分かりやすい例は土地です。広い家に住み、田畑を広げることができます。現在、世界では人口が増えていて、食糧やエネルギー資源の枯渇が懸念されています。でも、人口が減ると、その心配も減ります。地球上の資源量が増えない限り、人口は少ない方が有利なのです。さらに、人口減少は地球温暖化の抑止にもなります。人口が減れば、産業活動の量も減り、温室効果ガスの排出量も減ります。
 問題は人口減少の速度です。日本はこれが速すぎるのです。ですから、「速度」を緩める必要があり、出生数、出生率を上げるために働き方の多様化が不可欠なのです。妙高市の計画案も速度を緩めることに腐心しています。また、移民拒否がアメリカやEUで叫ばれていますが、低い出生率でも移民の受け入れによって人口は調節できます。移民を受け入れることによって、減少傾向を遅らせることができますが、日本では移民政策は積極的に推進されていません。人口減少を悲観視する意見がある一方、人口増加に歯止めがかかるということは、地球の生命維持機能への負担を軽減するために必要な第一段階だという声もあります。世界の人口増加はじきに頂点に達し、そこからゆっくりと減少し始めると予想されています。国連は、2030年から2035年の間に、東アジア全体が日本と同様の傾向になるだろうと予測しています。
 妙高市が小さくなっていく中での総合計画(案)にも人口減少のメリットを伸ばすプランが幾つも並ぶと元気が出ますから、案でなくなる時には元気プランが盛り込まれていることを期待します。