センダン

 豊洲駅から豊洲市場へと延びる都道484号線の両側にはセンダン(栴檀)が街路樹として植えられている。センダンはセンダン科センダン属に分類される落葉高木。センダンと聞くと、「栴檀は双葉より芳(かんば)し」という謂い回しを思い出すが、残念ながらこのセンダンはビャクダン(白檀)のこと。ビャクダンは香木のビャクダン科のもので、街路樹のセンダンとは別物である。
 栴檀は中国名ではビャクダンを指すが、センダンも幹に少し香りがあるため「和の栴檀」として名がついたらしい。センダンの花はほのかに香るが、私は木に香りを感じたことはない。また、センダンは「千団子」に由来するのではないかという説もある。滋賀県三井寺の「千団子祭り」に供える千個の団子のことだというのである。祭られる神は千人の子を持つ鬼子母神。このセンダンの熟した実を千個の団子に見立てて千団子というようになり、それが詰まってセンダン(画像は熟す前の実)。
 初夏に咲く薄紫色の花は美しく、香りもある。個々の花は小さいが、まとまって咲くため、花期には木全体が薄紫色に見えるほどになる。秋に熟すクリーム色の実は枝先に鈴なりにでき、遠目からも目立つ。その姿は数珠がついているように見えるため、「千珠」と呼ばれ、それが変化してセンダンとなったという説もある。ヒヨドリなどの野鳥は好んでこれを食べるが、人間の食用とはならない。

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