トチノキ、あるいはマロニエ

 最近は公園や歩道にトチノキをよく見ます。トチノキというと、私には栃の実、そして栃餅が思い浮かびます。
 トチノキ属のマロニエ(西洋栃ノ木)は、16世紀にヨーロッパで街路樹として植栽することが流行し、一気に広まり、パリのシャンゼリゼ通りの並木道は世界的に有名。サルトルの『嘔吐』にも登場します。一方、日本原産のトチノキの実は古代人にとって貴重な食材であり、縄文時代の遺跡からもトチの実の化石が多く発見されています。
 人と植物の関係は様々で、パリのマロニエ並木と縄文以来の栃の実が同じトチノキの人間社会での姿となっていて、人と植物の結びつきの懐の深さが窺えます。

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