アオギリとキリ

 故郷では子供の頃に一度も見たことがないのがアオギリで、どこにでもあったのがキリ。下駄やたんすの材料として身近にあり、紫色の花とその匂いは強烈に残っている。そのキリの木は都心では見たことがなく、今の湾岸地域でも見ない。それに反してアオギリは公園樹や街路樹としてよく見る。何とも好対照なのだが、それもその筈で、二つは名前が似ていても、まるで別の樹木なのである。
 アオギリは、アオイ科アオギリ属の落葉高木。カカオの仲間で、本来は亜熱帯に分布する。古く中国から渡来したものが、野生化したようである。今では街路樹でよく見かける。背が高い。幹が青色なので見分けやすい。大きな葉が涼しい木陰をつくる夏に、うす黄色の花が咲く。実は袋状で大きく、中に種子がある(画像)。
 キリ(桐)は、キリ科キリ属の落葉樹で、アオギリとはまったく異なる種。中国で古くから両方に「桐」の字を用いているために混乱が生じた。中国原産だが、里山で野生化している。木目が美しく、狂いが少なく、加工しやすいので高級家具材として有名。
 アオギリの名前の由来となっている青色の幹(交通信号の青色)は、大きくなるにつれて次第にくすみ出し、大きな袋状の果実はまだ熟していないうちから開いて垂れ下がるため、アオギリ嫌いは相当いて、私もその一人である。

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