サルスベリ(猿滑、百日紅)

 樹木の幹は風景だけでなく触景もあり、触った感触は木によって様々である。ケヤキの冷たく堅い表面、スギの皺だらけの表皮には汗のように赤みがかったべっ甲色の脂が出ている。つるつるの禿のような幹をもつのがサルスベリで、その花があちこちで咲き出した。湾岸地域の公園や歩道にはサルスベリが目立つ。乾燥や潮風に強く、代表的な「陽樹」であることから植えられたのだろう。子供の頃、つるつるした感触を楽しんだサルスベリは近くの寺に一本あるだけだった。
 サルスベリは中国南部が原産の落葉樹。「猿滑」とも書くのは、樹皮のはがれた部分がつるつるしているため、猿も滑って落ちるというのが、名前の由来らしい。「百日紅」の方は開花期間が長いことからで、一昨日のヒャクニチソウ(百日草)と同じ。その名のとおり、初夏から秋までの長い間鮮やかな紅色やピンク、白などの花を咲かせる。最近よく見るのは草花のような極低木性のサルスベリで、種子からから栽培する「あすか」という園芸種。

f:id:huukyou:20190730054705j:plain

f:id:huukyou:20190730054725j:plain

f:id:huukyou:20190730054746j:plain