ハマゴウ

 草のように見えるが、実は木。砂浜がほぼない湾岸地域でも海の近くにその姿をよく見る。名前は「浜をはう」という意味らしい。葉を風呂に入れるといい香りがする。平安時代の文献『延喜式』、『本草和名』では蔓荊子(はまはふ)、波万波比(はまはひ)などと呼ばれ、茎が砂の上を這うので「浜這い」だった。その後、実、葉、茎に精油分を含み、芳香があることがわかり、葉や樹皮からお香や線香が作られた。浜辺の香りの植物であることから、ハマゴウ。本州・四国・九州からアジア東南部から南大西洋、オーストラリアにも分布している。葉の裏面には灰白色の毛が密生していて、白い。夏に画像のような美しい青紫の唇形の花を咲かせる。
 想い出されるのは直江津中学校科学部の研究「ハマゴウ虫えい(虫こぶ)に生息する動物生態研究」。直江津中学校では、国立研究開発法人科学技術振興機構JST)の補助事業を受けて新潟県海浜に見られるハマゴウの生態に取り組んできた。この植物にはフシダニが寄生すると葉に大小の瘤ができることから、この植物とダニの関係を研究テーマにしてきた。2011年には日本学生科学賞新潟県大会で最優秀賞、全国大会で入選1等受賞している(画像にも僅かだがその瘤が見える)。

f:id:huukyou:20190719052233j:plain

f:id:huukyou:20190719052249j:plain