ジギタリス

 ジギタリスは、ベル形の花を穂状につけ、すらっと優雅に花茎を伸ばす。その姿はとても妖しくエレガントで、うっとりしてしまうのですが、全草に毒性があり、また薬草としても有名でした。ヨーロッパでは暗く寂れた場所に繁茂し、不吉なイメージをもつ植物とされてきました。
 ジギタリスは18世紀後半から心不全に使用されている治療薬で、てんかんなどの神経疾患にも用いられた時期があります。ゴッホの作品に黄色が多いのは、てんかんに対して処方されていたジギタリスの副作用である黄視症の影響だと言われています。
 英国のウイリアム・ウィザーリングが1776年にその薬効を発表しました。彼は民間療法のいわゆる「魔女の秘薬」に科学的考察を加え、強心作用があることをつきとめました。以来、長い間、うっ血性心不全の特効薬とされ、当初は乾燥した葉を、後には合成された成分が使われましたが、今は使われていません。

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