春を彩る黄色三種

 ロウバイ(蝋梅)は、ロウバイロウバイ属に属する中国原産の落葉樹。早い種では12月頃に、遅くても2月に黄色く香り高い花がやや下を向いて咲く。寒い時期に開花し、香りが強く、花柄が短く花が枝にまとまってつくといった点でウメに似ているが、ウメはバラ目バラ科で異なる。蝋梅の名は、『本草綱目』によれば、半透明でにぶいツヤのある花びらがまるで蝋細工のようであることに因む。ソシンロウバイ(素心蝋梅)はロウバイの園芸品種で、黄一色で、花びらが丸くて芳香が強いのが特長。公園や庭先などによく植えられている。ソシンは「素心」と書き、本来は複数色になる花色が単色になった品種のことで、ソシンロウバイは、花びら、花芯まですべてが黄色一色。

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 フクジュソウ福寿草)は、キンポウゲ科多年草。北海道から本州の山野に多く見られる、春の植物。そのため元日草(ガンジツソウ)や朔日草(ツイタチソウ)の別名をもつ。「福寿草」という和名もまた新春を祝う意味が込められている。これまでフクジュソウとされていたものは現在4種類に分類されていて、人里に近いところでも大群落をつくるので、花の歳時記には必ず登場する。江戸時代より多数の園芸品種が作られている古典的な園芸植物である。 また、根には強心作用、利尿作用があり民間薬として使われることがあるが、毒性(副作用)が強い。

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 ミツマタ(三椏)は冬に葉を落とす落葉性の低木で、ジンチョウゲ科のミツマタ属に属する。中国中南部・ヒマラヤ地方が原産地とされ、3月から4月ごろにかけて、三つ叉(また)に分かれた枝の先に黄色い花を咲かせる。ミツマタは、その枝が必ず三叉に分かれるために「ミツマタ」と名付けられた。ミツマタの皮が和紙の原料として文献に登場するのは、16世紀の戦国時代になってからだが、もっと古くから使われていたらしい。新葉が芽吹く前の枝先に花だけがうつむいて咲き、花には芳香があり、小さな花が集まって半球形をつくっている。花には花弁がなく、花弁のように見えるのは筒状の萼の先端が4つに裂けて反り返ったもの。

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