キク

 キクは東洋で最も歴史の古い観賞用植物の一つ。原産地は中国ですが、早くから日本に伝わり、独自の園芸文化を生み出してきました。日本独特の美意識にそって発達してきたキクには日本の精神風土や文化の象徴が香っています。イギリスのバラと日本の菊とを対にして二つの国を比較したくなるのも納得できるというものです。トゲのあるバラは仏事にはタブーとされていますし、毒のある花(彼岸花スイセンなど)も仏事に相応しくないとされていますが、キクは花のもつ気高さから邪気を払い、仏事に最適とされてきました。そのためか、子供の頃の仏壇にはいつもキクが供えられていたことを憶えています。仏壇の周りはキクと線香の香りが混じり合っていました。キクの品種は非常に多く、花の大きさや形、開花時期もまちまちなので、とても一言でその性質を言い表すことができません。
 そこで、日本古来の観賞菊と切り花ギクそれぞれの特徴を述べてみよう。観賞菊は全体の姿を楽しむために栽培される伝統的な秋咲きのキクで、花の大きさによって小菊、中菊、大菊の三つに分けられます。小輪の小菊は懸崖仕立てや菊人形づくりに利用されます。中菊はほうきのような花型の嵯峨菊や、糸状に縮れた花弁(舌状花)を持つ伊勢菊など、地方的な特色を誇っています。大菊はボール状に咲く厚物や、花弁が管状になる管物など、さまざまに変化した豪華なグループです。切り花ギクは品種によって開花期が違い、夏菊、秋菊、寒菊などと区別されています。この開花期のずれとハウス栽培を組み合わせることによって、花屋の店頭にはいつでもキクの花が見られます。
 画像はキクの園芸種、残念ながら私にはその品種を同定できません。でも、見ていると心が和むのですが、それは私が日本人だからでしょうか。

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