コブシ(辛夷)

 私は早春のコブシの白い花がモクレンの花より好きです。そのコブシはモクレン科の落葉広葉樹。白い花を、枝いっぱいにつけ、野山に点在しているコブシは、春を知らせてくれます。コブシの美しい花に比べると、コブシの実は人を驚かすような異様さをもっていて、ギョッとします。袋が破れて、赤い実がのぞきますが、虫の塊のようでもあり、目玉のようでもあり、気味の悪い物体といったところです。受粉した雌蕊のところだけ種が出来て、子房が膨らみます。受粉出来なかったところは、そのままなので、結果、いびつにゴツゴツした形状になります。このでこぼこした形が、子どもの握りこぶしに似ているというのが名前の由来です。また、幾つかの実が結合しているので、虫こぶ状になっているからだという説もあります。袋果の中に入った実は、緑色から黄色、やがて赤みを帯びてきて、袋果が割れて赤い実が覗きます(画像)。この赤い実の中に黒い種が入っています。

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