コスモス

 コスモスは、キク科コスモス属の総称で、和名はアキザクラ(秋桜)。コスモスの野生種はメキシコの高原が故郷。葉は細かく枝分かれして羽状になり、花径は大輪種だと10cmを超す。メキシコからマドリッドの王立植物園に送られ、コスモスと名づけられた。コスモスとはギリシャ語で「秩序」を意味する言葉である。日本には明治12年に渡来。
 だが、「コスモス」と聞けば、私には花の名前ではなく「宇宙」のこと。宇宙のことをコスモス(cosmos)と呼ぶのも同じ語源である。空間(space)は人の視点をもち、宇宙(universe) は神の視点からの世界。cosmosは秩序あるシステムの意味で、その対義語はchaos(混沌)。universeは一つの宇宙を指すが、多元宇宙(multiverse)は複数の共存する宇宙を指す。コスモスを見る度に私が思うのは、悲しいかな「宇宙とは何か」という職業的な問いである。何とも野暮な話だが、私にとって宇宙はコスモスではないにもかかわらず、コスモスの花を見ながら条件反射的に自問するのは「ユニバースとは何か」なのである。
 ところで、「コスモス」は秋の季語だが、「秋桜」も秋の季語。「秋桜」を「コスモス」と読むようになったのは、昭和52年に山口百恵の「秋桜」が大ヒットしたから。作詞作曲はさだまさし。曲のタイトル「秋桜」を「コスモス」と読ませ、歌詞の中でも「秋桜」と表記して「コスモス」と読ませた。

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