イヌマキ

 イヌマキ(犬槇)は、マキ科の常緑針葉高木。関東以南の比較的暖かい地域に分布する。樹皮は白っぽい褐色で、細かく薄く縦長にはがれる。葉は細長いが、扁平で主脈がはっきりしていて、針葉樹の葉には見えない形をしている。雌雄異株で、雄花は前の年の枝に多数つき、穂状で垂れ下がり、黄色い。雌花は1 cmほどの柄の先に小さな包葉があり、その中の1つが伸びて、その先端部に胚珠を含む。胚珠を含む部分が膨らんで種子になり、その基部も丸く膨らむ。
 「イヌマキ」の「イヌ」は、別にあるマキなる木に対して、それよりも劣るものとしてつけられた名前である。まっすぐに伸びる杉を「真木(マキ)」と呼んでいたのに対し、それと区別するため犬マキと呼んだ、あるいは上品なコウヤマキを「ホンマキ」と呼ぶのに対して、葉や姿形が劣ることから「イヌマキ」と呼んだいうのが一般的な説である。コウヤマキより成長が早くて安価なため流通量は圧倒的に多い。また、木材としても決して劣るものではない。
 実際、イヌマキには潮風や汚染物質に負けない丈夫さがあることから、生け垣や防風林といった実用的な使い方がされ、豊洲新市場の周りの公園にもたくさん植えられている。

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