秋(4):コスモス

 秋の青空に映えるのがコスモス。コスモスは秋の青空にピッタリ。だから、コスモスは「秋桜」と書かれ、夏から秋に咲く花かと思いきや、別名がオオハルシャギク(大春車菊、大波斯菊)で最近は既に初夏から咲いている。「ハルシャギク」の由来は波斯(ペルシャ)の菊。ペルシャとは全く関係ない謎のネーミングなのだが、大春車菊のネーミングもこれまた謎である。
 私たちが通常「コスモス」と呼んでいるのは、学名を「Cosmos bipinnatus」といい、和名が「アキザクラ」又は「オオハルシャギク」。一方、「キバナコスモス」は、学名「Cosmos sulphureus」で前者とは同科・同属だが、種が異なり、交配は不可。両種とも1年草で、原産地も同じメキシコである。
 コスモスの日本への渡来は1896(明治29)年で、葉の形は羽状に細かく切れこみ線形になる。コスモスもキバナコスモスも18世紀末にメキシコからマドリッドの植物園に送られ、ヨーロッパから渡来した。キバナコスモスはコスモスと比べて葉が幅広く、切れ込みが深く、コスモスよりも繁殖力が旺盛。画像はコスモスとキバナコスモスそれぞれ二葉。
 さて、「コスモス」とは度肝を抜くような名前なのだが、私のような世代だとキューブリックの「A Space Odyssey」やビートルズの「Across the Universe」が浮かび上がってくる。space と universe は両方とも「宇宙」を指すが、space は地球の大気圏より外の空間、universe は地球を含めた万物。space は人の生活世界の常識的な空間概念であり、universe は物理世界の科学概念。肝心のcosmosは円運動からなる秩序あるシステムとしての宇宙で、chaos(混沌)の対義語。だから、コスモスは古科学概念だったが、今では擬似科学あるいは形而上学の概念である。
 円いコスモスの花を秩序ある宇宙と結びつけるか、「秋桜」を愛でて秋の風情を味わうか、それは個人の自由ということになるのだが、となれば、両方に同じように関心を寄せるのが人の自然な姿というもので、何とも業突く張りなことか。

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