蝉の声

 今年も蝉が鳴き出した。うるさい程でないのがかえって気になるが、それでも蝉は元気に鳴いている。藤沢周平の『蟬しぐれ』のように、きっと五輪開催時も蝉しぐれが聞けることだろう。

灼熱に 負けじと蝉の 声しきり

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 蝉が鳴き出すと、目立ち出すのが空蝉。「空蝉」は重宝な字句で、文字通り「蝉の抜け殻」から、この世に現に生きている人、また、この世を指している。さらに、蝉まで意味する。そして、『源氏物語』第3巻の巻名でもある。そこには空蝉の寝所に忍びこんだ光源氏が拒まれることが描かれている。その他、楽曲やアルバム名によく使われている。

手に置けば 空蝉風に とびにけり  高浜虚子

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