変化とその表現(9):雑感

 ペイリーの『自然神学』(1802)、ライエルの『地質学原理』(1830)、ダーウィンの『種の起源』(1859)は、私にはどれも印象深い書物で、旧図書館の書庫で遭遇したことが思い出される。これら3冊はほぼ等間隔で出版されているが、それだけでも19世紀の前半のイギリスの知的探求の変化を見事に示す直接証拠になっている。そして、それぞれが世界のデザイナーの存在、地球の地質学的環境の長期的な変化、生物の系統的な変化を見事に主張するものだった。
 私が大学生の頃の図書館は閉架式で、自由に書庫に入ることができなかった。それが開架式に変わり、さらに新しい図書館ができ、今では電子書籍が幅を利かしている。まだ院生の頃、書庫に入り、書架で見つけたのが上記の本。いずれも初版ではなかったが、ごく普通に置かれ、ライエルの本など異なる版が4種類もあった。
 流石に初版本は普通の書庫にはなかったが、バブル期には稀覯本を購入するようになる。一冊の値段が高いと書架の占有面積が少なくて済むという利点もあった。私は書誌学や文献収集には興味がなかったのだが、『種の起源』の初版本を丸善に勧められ、購入した。19世紀の書物は酸性紙でできていて、20世紀の後半には既に炭化が進み、取り扱いに注意が必要だったが、ダーウィンの初版本もその一つだった。

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『自然神学』

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『地質学原理』

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種の起源