二つの園芸品種

 花壇でお馴染みのペチュニアは、色々な園芸品種があり、成長が早くて丈夫。南アメリカに自生するペチュニア・アキシラリス、ペチュニア・インテグリフォリアをもとに、西欧で品種改良が進み、多様な品種がある。また、今よく見るのがアガパンサス(紫君子蘭(むらさきくんしらん))。南アフリカ原産で、明治中期に渡来。梅雨の頃、紫や白の小花をたくさん咲かせる。葉は君子蘭に似ている。

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 園芸品種は私たちの都合によって野生種からつくられた半ば人工物。人工物はArtifact、自然種はNatural kindと区別されてきたが、園芸品種は半ば自然種と言えないことはない。洋の東西を問わず、園芸品種は花鳥風月の世界のもの。かつての中国の自然は花鳥風月の世界のことで、Natureではないと言われたが、園芸品種は確かに花鳥風月の世界に属し、私たちはそれを観賞の対象として享受している。一方で、自我を押さえ、観察、測定を徹底して自然を知ることとは対照的に、自然を観光するかのように楽しむには受け手の自我が不可欠で、それが万人に可能になったのが西洋近代社会だと考えることもできる。
 いずれにしろ、園芸品種は自然に手を加えを、楽しみを増やしてくれているのは確かである。ペチュニアアガパンサスを見ながら、「美とは何か」を考えるのも梅雨の楽しみの一つだろう。