ガンダムの操縦と阿頼耶識

 「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」では、主人公の乗る「ガンダム・バルバトス」を動かす仕組みが阿頼耶識(あらやしき)システムと呼ばれています。このシステムは、ナノマシンによる外科手術でパイロットの脊髄に埋め込まれた金属端子と操縦席側の端子を接続することによって、パイロットの神経を機体のコンピュータと直結し、外部情報を直接脳内で処理できるインターフェイスです。
 では、この仕組みがなぜ「阿頼耶識」と呼ばれるのでしょうか。仏教で「阿頼耶識」とは心のことで、「識」と言います。「知識」、「見識」の識で、心という意味です。ブッダの驚くべき研究については既に何度も述べました。仏教では心を八つに分けて「八識」と分類しました(眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 末那識(まなしき) 阿頼耶識)。
 意識も何気なく使っていますが、正真正銘仏教用語。さらに、末那識は現在の無意識に該当し、フロイトユングが解明するより遥か前のことです。そして、最後の「阿頼耶識」は、現代の科学や医学をもってしても解明できない究極の謎です。
 五感も意識も身体から生じていますが、阿頼耶識は肉体とは別物で、魂、霊魂などと呼ばれてきました。そして、仏教では、真の自分は阿頼耶識なのです。肉体や意識はあくまでこの世の現象に過ぎなく、真の自我ではありません。つまり、意識をも超越した心が阿頼耶識で、それは肉体から離れた、究極的な心です。上記の「阿頼耶識システム」は意識を超越して動かすインターフェースを意味しているようです。ロボット操作というと、手でハンドルを動かしたり、ボタンを押したりなのですが、脳内と直接つながり、動かすわけですから、通常のシステムとは大きく異なっています。ガンダムを自らの身体として直接に動かす、そしてそれには自我が必要だと想定しても不思議ではありません。
*詳しくは「宗教が変わる(5)」を参照して下さい。

f:id:huukyou:20180129063657j:plain

機動戦士ガンダムUCユニコーン)」は昨年秋にお台場に設置された。

f:id:huukyou:20180129063642j:plain

f:id:huukyou:20180129063617j:plain