2019-03-12から1日間の記事一覧

私が生きる世界(5)

6 古典力学と生活世界 「私が生活する世界は古典力学がつくった世界だ」と言うと、きっと様々な誤解や反発を生むことだろう。この命題は「生活世界は力学の世界とはまるで異なる」と考える人には端的に誤った命題である。また、いまどき古典力学を信じる人な…

私が生きる世界(4)

5 幾何学の大いなる野望:点 ユークリッド幾何学の野望は「点」に秘められ、「点」に込められている。[1]大袈裟に言えば、点がその後の私たちの生活世界を運命づける最も重要な鍵を握っていたのである。点を使って世界の様々なものを表示することができる故…

私が生きる世界(3)

4 私が表象し、行為する生活世界 私の生活する世界は私が表象し、意識し、記述・説明する世界である。私は学校で習った古典力学を使って物理現象を表象し、記述し、そしてそのような現象の集まりとして世界を理解する。実を言えば、私自身が古典力学を使うの…

私が生きる世界(2)

3 ターレス、パルメニデス、ゼノン 論証や証明がもつ俯瞰的な観点を最初に導入したターレスは一流の幾何学者となり、幾何学によって因果的な世界から独立した数学的世界の存在を示すことに成功した。[1]彼に始まる幾何学は、その後ユークリッドによってギリ…

私が生きる世界(1)

私はどんな世界に生き、暮らしているのか。人が生活する世界とは、そこで生まれ育ち、楽しみ、苦しみを経験し、家族や友だちをもつ環境であり、宗教、科学、哲学が探求してきた自然、社会、精神を含んだ世界である。その生活世界はどのようにつくられ、変え…

知識の三つの側面を垣間見る

知識論(theory of knowledge)と認識論(epistemology)は同義語でもあるし、異義語でもある。様々な場面で、同じように、そして異なるように使われてきた。それ以前の主役は存在論(ontology)で、もっぱら外の世界の事物を対象としていた。その長い歴史の…

ヘレボレス アーグチフォリウス

舌をかみそうな名前だが、原種はクリスマスローズ。ヘレボラス アウグチフォリウスはキンボウゲ科クリスマスローズ属で、原産地はフランス・コルシカ島、旧学名は「コルシクス」。ヘレボルス・アーグチフォリウスは、有茎種(立ち上がった茎に葉をつけ、頂部…